耐震等級3で建てて地震に耐えて住み続けられる家
家づくりを知っていくと必ず目にする耐震等級3の文字
地震の多い日本において知っておかなければいけない
耐震等級3のこと
なぜ耐震等級3が必要なのか
その理由とメリットを紹介していきます。
目次
【耐震等級とは】
耐震等級は地震に対する建物の倒壊・崩壊のしにくさを
示した指標で等級1~3までの3段階で表します。
等級1とは、建築基準法の耐震性能を満たす強さで
一般の住宅の耐震性はこれにあたります。
数百年に一度、稀に発生する大地震に
倒壊しない程度(わかりにくい表現ですね)
震度6強~7程度の地震が起きても
即時に倒壊しない程度で
記憶に新しい熊本の地震のように何度もつづいては
壊れてしまいます。
次に等級2、耐震等級1の1.25倍の強度で
震度6強~7程度の地震が起きても補修をすれば
住むことができる程度。
以前の長期優良住宅は耐震等級2から
認定されていましたが令和4年10月からは
等級3のみ認定となりました。
そして等級3、耐震等級1の1.5倍の強さで
震度6強~7程度の地震が起きても
軽微な補修で住み続けられる程度で
熊本の地震で2回震度7を記録した
益城町では、耐震等級3で建てた住宅は
ほとんど無被害か軽微な被害ぐらいで
留まっていました
因みに耐震等級2の住宅は
倒壊した事例が見られました。
【新耐震基準と旧耐震基準】
度重なる大きな震災を教訓にして耐震基準は
より強い建物にするべきと改正を重ねてきました。
1981年に耐震基準に関する建築基準法の改定が
ありその前が「旧耐震基準」、後が「新耐震」と
分かれています。
1978年に宮城県沖地震が発生して建物倒壊の被害が
大きく、建物の全半壊は7,400戸にも及びます。
これまでの基準は震度5程度の地震に耐えられることを
基準にしていましたが、震度6程度の大規模な地震で
倒壊や損傷を受けないことと基準が変わります。
旧耐震は震度5、新耐震基準は震度6強~7程度の地震で
倒壊・崩壊しないことと最低限の強度が
引き上げられます。
1995年1月7日阪神淡路大震災が発生し甚大な被害を
もたらしました。
この地震をもとに新耐震基準をさらに厳しい
耐震基準へと改正が行われ「2000年基準」と
呼んでいます。
・地盤が重さを耐えられるのか、地盤の応じた基礎の設計
・直下型地震の強い縦揺れで柱の引き抜けに対応するために基礎と柱との接合部に金具を取付ける
・耐力壁をバランスよく配置することで頑丈な家にすることと義務付けされます。
【耐震診断の必要性】
阪神淡路大震災において旧耐震基準の建物は
特に被害が多かったことから
耐震診断は1981年(昭和56年)5月31日以前の旧耐震基準
の建物に対して診断を行っています。
碧南市では、2階建て以下の木造住宅
(現に住居の用に供していること)は無料で
受けられます。
[東南海地震と三河地震]
1944年(昭和19年)12月7日午後1時36分に和歌山県
新宮市付近を震源とするM7.9の地震で震度6~7相当
の強い揺れで愛知・三重・静岡で大きな被害と
なりました。その約1か月後の1945年(昭和20年)
1月13日午後3時38分に愛知県東部でM6.8の直下型地震が
発生しています、安城市、西尾市、蒲郡市に大被害を
もたらし震度7相当と観られます。
当時は戦争中であったためその被害状況はほとんど
報道されなかったそうで、隠された地震とも
言われています。
東南海地震の住宅全半壊73,080戸
三河地震も住宅全半壊17,245戸に及びました。
【耐震等級3が必要な理由】
耐震等級1は建築基準法で定めている最低限の耐震性です。
これまでの地震の経験からみても耐震等級1では
安心できるものではありません。
なぜかというと耐震等級1は、震度6強~7で倒壊しない
程度とありこの倒壊しないというところが
ポイントになってきます。
※倒壊とは、建物などが災害などにより
壊れ、倒れること。
原形をとどめないほど壊れるさま。
居住のために機能が失われてしまっては
生活することができないです。
この倒壊に至らぬまでも家が傾いたり大きな損傷を
受けてはそのまま住み続けるのは難しくなります。
住む所がなくなったり、修復に高額な費用が
かかったりしては経済的にも精神的にも大きな負担に
なってしまいます。
命を守るだけではなく安心して
住み続けられることが大切です。
写真のような状態になってしまってはいつ崩れるか
わからない状態であり修復も難しくなってきます。
“もう、住めない” です。
2016年の熊本地震で大きな被害を受けた益城町の中で
耐震等級3で建てられた住宅が16棟あり
うち2度の震度7の激震にもかかわらず無被害が14棟
残りの2棟も補修して住み続けられる程度の
被害で済んでいます。
熊本地震を教訓に耐震等級3をあたりまえとして下さい。
【耐震等級3と耐震等級3相当との違い】
耐震等級3相当というものを目にしたことがあると思います。
耐震等級3は構造計算を行ない評価機関から証明書を
出してもらい正式に認められた耐震性がある建物というものです。
一方、耐震等級3相当は評価機関への申請を出さず
耐震等級3と同等の耐震性があると自己申告しているもので
耐震等級3と証明できる建物ではないです。
耐震等級3相当という言葉でいかにも頑丈な性能があるように
思われますが耐震等級1との区別もつかないのです。
耐震等級3相当では受けられるメリットもないので
そこのところよ~く確認しておく必要があります。
【耐震等級3のメリット】
・なんと言っても震災時の安全性が高いこと。
熊本地震において耐震等級3の家はほとんどが無被害又は軽微で済んでいます。
・地震保険が安くなる
耐震等級3の認定で50%もの割引があります。長期にわたっての割引ですのでメリットは大きいです。
・金利の優遇が受けられる。
フラット35Sの金利Aプランを利用することができます。
通常に比べ0.25%の金利引下げを10年間受けられます。
【耐震等級3を取得するには】
正式な耐震等級3を証明するには住宅機能評価機関に
審査をしてもらい基準に適合していることが
確認できると以下の証明書が発行されます。
・品確法に基づく建設住宅性能評価書または設計住宅性能評価書
・長期優良住宅の認定通知書
・フラット35適合証明書
・現金取得者向け新築対象住宅証明書
・住宅性能証明書 など
【耐震基準のポイント】
[耐力壁を多くつくる]
耐力壁とは、家にはさまざまな方向から力が
かかっています。
建物そのものの重さが垂直方向に
そして地震の横揺れや台風の横からの強風が
水平方向に
こうした力から建物を支える役割が耐力壁です。
上からかかる力(垂直)に対しては
柱が支えていますが、水平方向にかかる力地震や台風に
対してはこの耐力壁が重要になってきます。
木造住宅(在来軸組工法)の耐力壁は2種類の耐力壁が
あり「筋交い」と「耐力面材」です。
筋交いとは柱・梁・土台で構成された四角の枠を
斜めに架けた補強材のことで横からの力が加わった
ときに建物の歪みを防ぎます。
耐力面材とは、柱・梁・土台に面材(パネル)を
打ち付けて面で横揺れを支えます。
そこで注意が必要なのは釘の打込み深さです
釘のめり込みが深くなると強度が落ちてしまうので
面ツラで釘を止めることと、そして釘のピッチを
必ず守ることです。
[耐力壁の量と配置]
この耐力壁を構造計算で求めて、より多くの壁を
バランスよく配置することで強い家になっていくのです。
地震時において建物のねじれを防ぐためで
北面は壁が多く、南面は開口をとるので
どうしても壁の量が減ってきます。
この壁の強さのバランスが片方に偏ることなく
整えることが必要になります。
偏心率とは、建物のねじれの大きさを表す割合で
小さいと重心と剛心の距離が短くねじれが少なくなり
耐震性が良くなります。
重心とは建物の荷重の中心のこと、剛心とは建物が
地震などの水平力に抵抗する力の中心のことを
呼んでいて、地震の時に発生する力は
重心に強く作用します。
しかし建物の一番強い部分は剛心ですので
この重心と剛心の距離が離れていると「ねじれ」が
生じて建物に損傷を与えてしまいます。
これを避けるために耐力壁をバランスよく配置して
重心と剛心の距離を近づけることで
耐震性を高くします。
[床の剛性]
水平構面とは、耐力壁の縦の向きの構造面に対して
床や屋根といった横向きの構造面のことで
地震や台風などの水平の力に抵抗する構造のこと
壁さえ丈夫ならばいいだろうと思われがちですが
床のかたさが小さいとねじれて簡単に変形して
しまいます。
床の剛性は、かたさが大きいほど水平の力が
加わっても床の変形が小さく抑えられます。
【まとめ】
日本で家を建てる以上、いつかは来るであろう大地震への
備えは避けられません。
これまでに起きた大地震から学び耐震基準は
改正されてきました。そうした中でも熊本の地震で起きた
震度7の大きな地震が2度も繰り返すと耐震等級1の家では
耐えられない、倒壊まではしなくても住むことができない
修理に膨大な費用がかかってしまっては悔やまれます。
熊本地震では耐震等級3の家は無被害か軽微な被害で
済んでいます。その後も住み続けることができる家を
建てることが私たちのできる地震対策と命と資産を
守ることになります。建てた後からでは耐震等級3は
取得することは出来ません。
デザインだけにこだわりを持つより
まず先に耐震性能のことにこだわり大切な家族を守ってください。
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